閉じたまぶたの裏側で
国道沿いのハンバーガーショップに入り昼食を済ませた後、海を目指してドライブをした。

カーステレオからは、私たちが高校生の頃に流行っていたロックバンドの曲が流れている。

「懐かしい。この曲、すごく好きだった。」

「だろ?俺は今でも聴いてる。行事が終わるごとに打ち上げだーとか言って、クラスのやつらとカラオケとか行ったよな。」

「うん、ボウリングなんかも行ったね。」

高2の時、應汰とは同じクラスだった。

3年では別のクラスだったけど、同じ選択科目の授業で顔を合わせたりもした。

学生時代の思い出話ができるって楽しい。

なんとなく、若かったその時にタイムスリップしたような気分になる。

「芙佳、あの時はあいつと付き合ってたな。」

「あいつ?」

「ホラ、テニス部の…。」

「ああ、斉藤くん?」

「そう、斉藤だ。」

10年以上前の事、よく覚えてるな。

私ですら忘れかけてたのに。

「よく覚えてるね。」

「言っただろ?俺はそん時から芙佳が好きだったからな。モタモタしてるうちに斉藤に芙佳取られてめちゃくちゃ悔しかった。」

「ふーん…。知らなかった。」

「3年になって芙佳が斉藤と別れたって知った時には、俺は別の子と付き合ってたしな。」

「彼女がいたならそれでいいじゃない。」

「彼女っつってもな…芙佳みたいにすっげぇ好きだったわけじゃないから。付き合ってくれって言われてなんとなく。それにホラ、そういう年頃じゃん?」


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