閉じたまぶたの裏側で
プラネタリウムを出た後、すぐそばにある大きな公園を散歩した。

綺麗に咲き誇ったたくさんの花を見て、池のボートに乗って、またゆっくりと歩いた。

「ちょっと休憩するか。」

「うん。」

近くにあった自販機で缶コーヒーを買ってベンチに座った。

コーヒーを飲みながら、應汰は少し考えるそぶりを見せた。

「芙佳はさ…彼氏のどこが良かったの?」

「どこが…?」

どこだろう?

どこが好きとか、なんで好きとか考える前に、気が付けば好きになっていた。

好きで好きで、一緒にいられる事が嬉しくて、ずっと一緒にいたいと思っていた。

…七海と結婚するまでは。

「理屈なんてないんだと思う。気が付けば好きになってた。」

「ふーん…。今は?」

今は一緒にいても、寂しいし虚しい。

それでも離れられないのは、やっぱり好きだからなんだろう。

「好き…だけど…すごく寂しくて虚しい。」

「それでも好きなんだな…。」

應汰はため息をついてコーヒーを飲み込んだ。

「なんで虚しいの?結婚とか先が見込めないって…どういう意味?」

「うん…。」

缶コーヒーを持つ手元を見つめながら、私はぐるぐると考える。

好きな人に奥さんがいるなんて、誰にも話した事はない。

應汰にそれを言っていいものなのか。

「もしかしてさ…相手、結婚してる人?」

こちらが言うより先に、應汰に図星をつかれてしまった。

「……うん。」

「やっぱりそうか…。」


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