閉じたまぶたの裏側で
車を降りる前に、バッグの中から家の鍵を出した。
よく玄関の前で、バッグの中で行方不明になった鍵を探す事がある。
決めた場所に入れているはずなのに、物を出し入れしているうちに、私の鍵はなぜかバッグの中を徘徊してしまう。
鍵を探しながらその話をすると、應汰は笑いながら、バッグにいろいろ入れすぎなんじゃないのかと言った。
確かにそうかも。
要らないものを減らしても、私のバッグはまたすぐに重くなってしまう。
ようやく鍵を見つけ出すと應汰は“早く同じ鍵を持てるようになりたい”とポツリと呟いた。
明日も会う約束をした。
特に行く宛はないけれど“明日はショッピングモールでもブラブラしよう”と應汰が言った。
車を降りてマンションのエントランスを通り、右手に鍵を持って自分の部屋に向かう。
階段を昇りきって廊下を歩き出した時、ドアの前の人影に気付いた。
勲が通路の壁にもたれて立っている。
思わず足がすくんで動けなくなった。
私の存在に気付いた勲は足早に私に近寄り、強引に手を引いて部屋の前に連れていった。
そして私の右手から取り上げた鍵で玄関の鍵を開け、ドアを開いて私を押し込んだ。
後ろ手に鍵を閉め、勲は強く私を抱きしめた。
「またあいつと会ってたのか…。」
苛立たしげに呟く低い声に無性に腹が立って、私は思いきり勲の胸を押し返した。
よく玄関の前で、バッグの中で行方不明になった鍵を探す事がある。
決めた場所に入れているはずなのに、物を出し入れしているうちに、私の鍵はなぜかバッグの中を徘徊してしまう。
鍵を探しながらその話をすると、應汰は笑いながら、バッグにいろいろ入れすぎなんじゃないのかと言った。
確かにそうかも。
要らないものを減らしても、私のバッグはまたすぐに重くなってしまう。
ようやく鍵を見つけ出すと應汰は“早く同じ鍵を持てるようになりたい”とポツリと呟いた。
明日も会う約束をした。
特に行く宛はないけれど“明日はショッピングモールでもブラブラしよう”と應汰が言った。
車を降りてマンションのエントランスを通り、右手に鍵を持って自分の部屋に向かう。
階段を昇りきって廊下を歩き出した時、ドアの前の人影に気付いた。
勲が通路の壁にもたれて立っている。
思わず足がすくんで動けなくなった。
私の存在に気付いた勲は足早に私に近寄り、強引に手を引いて部屋の前に連れていった。
そして私の右手から取り上げた鍵で玄関の鍵を開け、ドアを開いて私を押し込んだ。
後ろ手に鍵を閉め、勲は強く私を抱きしめた。
「またあいつと会ってたのか…。」
苛立たしげに呟く低い声に無性に腹が立って、私は思いきり勲の胸を押し返した。