閉じたまぶたの裏側で
元々應汰はモテるし、今までにも何人もの彼女がいたし、今更という感じはする。

私とあんな事があったからといって、私は應汰が他の女の子と付き合う事をどうこう言える立場でもない。

「芙佳、案外無反応なんだね。」

「だって…應汰が誰と何しようが、私には関係ない事でしょ。」

「ホントに?山岸は絶対芙佳の事が好きなんだと思ってた。芙佳は違うの?」

「違うよ…。應汰とは友達だから。」

一度くらいセックスをしたからといって、私たちは恋人同士でもなんでもない。

なかなかなびかない私を切り捨てた應汰が、他の女の子を選んでも不思議じゃない。

だけどなんとなく胸がモヤモヤするなんて、相当自分勝手だな、私。

勲と一緒にいられない寂しさを紛らわすために、あんなに好きだと言ってくれた應汰を散々利用した私には、應汰を引き留める資格なんてない。

應汰は私のものじゃない。


それなのに、胸が痛むのはなぜだろう?



白ワインを飲みながらぼんやりしていると、何か思い出したのか、美緒がポンと手を打った。

「山岸って、モテるけど誰とも長続きしないじゃない?」

「うん、そうだね。」

その理由を應汰本人の口から聞いた私は、ちょっと複雑な気持ちだ。

「山岸によっぽど問題でもあるのかと思って、前に付き合ってた子に聞いてみたんだけど。」

「うん…。」

彼女といる時の應汰は全然想像がつかないと思ってたけど、やっぱり私にしてくれたみたいに甘いのかな?


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