閉じたまぶたの裏側で
應汰は照れ臭そうに、ポカンとしている私の額をパチンと弾いた。

「いったーい…。何すんの…。」

額をさすりながらにらみつけると、應汰はテーブルの上に身を乗り出した。

「ヤキモチくらい妬けよ。」

「なんで私が…。」

「俺がいなくて寂しかったって言え!!」

「……言わないよ。」

「もっと飲め!!ベロベロに酔え!!襲ってやる!!」

「断る!!」

「こいつ…。」

久しぶりに應汰と軽口を叩きながら飲んだビールは美味しかった。

あんまり美味しくて、楽しくて、つい飲みすぎてしまった。




酔っていい気分で居酒屋を出ると、應汰は私の手を引いて歩き出した。

「ありがと、應汰。」

「急にどうした?」

「うん…。應汰がいてくれて良かった。」

「んー?俺に惚れたな?抱いてやろうか?」

「バカ…。」


そんな事言うの、ずるい。


「應汰、プリン食べたい。買って。」

「ガキか…。色気より食い気だな。」


憎まれ口を叩きながらも、應汰は私の手を引いて、コンビニに向かって歩き出した。


もう少しだけ、このままでいさせて。



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