好きと伝えれば。
その日から、私と矢田くんは挨拶をしたり、少し話をするようになった。
「あ、山内さんおはよー」
下駄箱で会うと、そういってくれる矢田くん。
おはようって言われるだけで、心があったかくなって、嬉しかった。
「おはよう、矢田くん」
「数学の課題やった?」
「うん、一応」
「悪いんだけど、写させて!」
そう言って顔の前で手を合わせる矢田くん。
困り顔で見つめられると、嫌なんて言えない。
「あってるかわからないけど、それでもよかったら」
「ありがとー!山内さん!」
こういうの、ちょっと憧れてた。
異性の人に何かを貸しあったり、下駄箱で挨拶しあったり。
なんでだろう、顔がほころんでしまう。