夏色の予感

「なんて面してんだよ。」

少し低い声がした。



「お構いなく。てか誰。」





「俺は水谷彩斗ってんだ。ちなみに高1。
よろしくなー！ってか高校一緒じゃん！」




彼はそう言いながら私が座っているベンチにどかっと座った。





「私は神田沙弥華。宜しくするつもりはない。あ、オレンジジュース…どうも。」





「神田…沙弥華…？何処かで聞いたことあるような……そんな訳無いか！」






あっははーと爽快に笑うこの人は、
きっと『今』というこの時を心から楽しんでいるのだろう。






羨ましいな…なんて思うことは無い。絶対に。





自分で自分を言い聞かせるように、さっき貰ったオレンジジュースを勢い良く飲んだ。