可愛いなんて思ってない!
「…こういうの貰ったらどう思う?」
「ん〜…お兄ちゃんからアクセサリーはちょっと…。」
何か変な感じするかも
と斎藤くんに言えば
だよねー、と斎藤くんは手に持っていたネックレスを棚に戻す。
現在
目的地に着いて
雑貨屋さんを点々としながら、物色中。
「今まで何あげてたの?」
「んーと…欲しいって言ってたものかな。」
去年まで散々言ってきたくせに
今年は俺のセンスでーとか言い始めて
本当困るよなー、と斎藤くんが言う。
ってことは…多分彼女くらいにしか
自分で探したプレゼントとか渡してないんだろうなぁ。
(そういえば斎藤くんってあんまり彼女の話しとか聞いたことないなぁ。)
1年の頃も
秦山と仲良いってことだけしか知らなかったし
あんまり噂も聞いたことないんだよなぁ。
「…ん?どうした?」
「え?あぁ、ううん。何でもない。」
そんなことを考えながら斎藤くんを見ていれば
視線に気づいて斎藤くんが首を傾げる。
私は軽く誤魔化して
近くのものを物色する。
……あ。
「ねぇ斎藤くん、これは?」
「…あぁ、マグカップ…。」
その手があったか、と斎藤くんが言う。
私が選んだものを手に取り
ジーっと見つめた後
斎藤くんが これに決めた、とレジに持っていく。
「え、本当にそれでいいの?」
「うん、いいよ。」
パッと決めて買った方が
何と無く運命かなーって。
と斎藤くん。
運命って そんな大袈裟な…。
(…斎藤くんって)
思った以上に、単純っていうか
なんか色々サッパリしてるよなぁ…。
まぁ変わらずクールではあるけど。
(でも確かに何しても様になるよねぇ…。)
性格もサッパリしてて
クールであの見た目だし
何してもかっこいいってコレだなぁ。
レジに並んでるだけなのにオーラ出てるもん。
(類は友を呼ぶって奴だなこれは。)
秦山もかっこいい…し、うん。
それは認めよう。
入学してから
かっこいい2人組って女子の中でも話題に出てたもん。
さすがだよ。
「…ん、お待たせ。」
「いえいえ。」
斎藤くんの買い物が終了して
私はそのまま帰るのかな〜と、思いきや。
「ちょっと何か食べてかない?」
お腹減っちゃった、と小さく笑う斎藤くん。
すぐお腹減るところも秦山と同じかよ
と心で小さくツッコむ。
「いいよ、喫茶店でも入ろっか。」
と、私は斎藤くんを
ユカリとよく行く喫茶店へご案内。