可愛いなんて思ってない!






「じゃあ…斎藤が、好きなんか。」




(っ……!!)





秦山のその一言で
私の中の体温が一気にサーっと下がる。




1番 言われたくなかった言葉。




-----違う、違うの…

そんな誤解、して欲しくない…!




私はハッと顔を上げて
秦山を見上げた。


するとそこには…





(っ……!?)






怒りを含んでいた声とは変わり



---悲しそうな 悔しそうな顔。



私はその表情に
思わず息を飲んだ。




…そんな顔、しないで…。





そう思うのに
そうさせているのは自分だと思うと

何も言えなかった。







「………好きじゃない。
ヒロキのことは、そんな風に見てない。」

「っ、ヒロキって…
お前らそんな仲良くなってんのか。」






私の言葉に

さらに眉間にシワを寄せる秦山が
私に少しずつ近づいてきて。



私もそれに応じて後ろへ後退する。


しかし
すぐ壁に背がついて 限界が来る。




…本当に目の前まで秦山が来て
圧迫感が私を襲う。






「…っ、秦山…。」

「何やねん…俺のことは、1度も呼び捨てで呼んだことない癖に---っ!」





そう言って悔しそうに唇を噛む秦山が
グイッと私の肩を掴んで

そのまま-----






「っん……?!」








秦山と私の唇が 重なった。





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