可愛いなんて思ってない!
(っ、……?!)
秦山の突然の行動に
私の頭は真っ白になって
何も考えられず ただ目を見開いていた。
-----チュ…
唇が離れると
秦山は伏せていた目をゆっくりと開けて
チッ…と舌打ちをしてから
私を軽く睨んだ。
「…好きやないなら、2人で遊びに行ったりすな!!」
「っ……。」
秦山は私にそう怒って
フイッとその場を去って行ってしまった。
……頭が 混乱していた。
-----秦山、怒ってた。
でも なのに何であんな顔…
一瞬でも したのか。
そして…キスの意味は?
何で秦山は
こんなに怒ってるの?
(好きじゃないなら…って……。)
秦山も 同じだよ。
「っ…好きじゃないなら、こんなこと…しないでよ…。」
祥一は紗香を置いて
1人教室へと戻っていた。
唇に残るのは---あの 感触。
「祥一ぃ、突然何しに行ったのよ〜?」
「……あぁ、まぁ、ちょっと。」
いつも絡んでいる女子に
尋ねられたけれど
祥一は言葉を濁す。
…気分が 晴れなかった。
(何で、斎藤なんかと……。)
噂になるってことは
それほど仲良くしてるように見えたわけで、
しかもいつの間にか名前呼びに変わっていたわけで、
俺はそれが……許せなくて…。
自分の気持ちを整理しようと席に着くも
話しかけてくる女子のせいで
全く集中できず
「…悪い、少し静かにしててもらえへん?」
と
珍しく女子にそう言う祥一。
「………。」
その様子を
ヒロキが静かに見ていた。