可愛いなんて思ってない!
(………。)
次の日
大事をとって休むことにしたのか
小林は学校に来なかった。
「ねぇ祥一、聞いてるのー?」
「………。」
「祥ちゃーん?どうしたのぉ?」
女子たちの俺の呼ぶ声は
俺の耳には入らず
俺はずっと小林の席を見つめながら
ぼんやり考え事をしていた。
(……昨日…。)
『…ま、まだ少し…話してたい…です。』
そう言った小林の顔が
頭から離れない。
熱のせいなのか
そうではないのか分からない
赤い顔をして
やけに素直に
俺にそう言った 潤んだ目が---
俺の頭から 離れないのだ。
(っ……あんな顔…。)
反則や…
なんて
言えるはずもなく
でもそこで確かに満たされた
自分の心に
俺は 気付いてしまった。
「……サナ、エリカ。」
俺は
そばにいた2人に話しかける。
そして静かに 告げる。
「…俺もう、お前らと深く仲良くしてられんわ。」
さすがにもう
自分の気持ちに気付いてしもうたんや。
家に呼んで 嫉妬して
俺を求める声に 満足して
(……っ…俺は…)
小林を
好きになってしまった。