可愛いなんて思ってない!





そして斎藤は

言葉を詰まらせている俺に向かって

静かに言った。







「…これ以上お前が 小林を待たせるつもりなら
俺は遠慮せずにあいつを…

-----奪い取るつもりだよ。」


「っ……!!」






斎藤はそう言って小さく笑って
俺を見た。




(…はっ、ははは…。)






---------上等やわ。







「心配されんでも
俺はもう 逃げたりせぇへんよ。」






真っ正面から

あいつとぶつかる。





(あいつをお前になんか やらんわ。)








『ふふっ…心配してくれて嬉しい。ありがとう。』






---あの笑顔も






『本当に美味しい…!!
やばい、すごい幸せ!』





---あんな喜ぶ顔も






『…ま、まだ少し…話してたい…です。』





---あんな弱った姿も






見るのは全部 俺で十分や。

俺だけでいい。






「あいつは…俺のもんや。」







他の誰にも

渡したりせぇへん。







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