鬼の双子と新選組

時雨に注意され、苦笑しながら話す。
芹沢さんにばれない様に細心の注意を払わなきゃなぁ…。
そう思いながら、部屋の天井を見つめた後に目を閉じた。

次の日。
昨日、言われた通り布団に入って、具合が悪い振りをする。
驚いたのは、芹沢さんが見舞いに来てくれた事だ。

「具合はどうだ?」
「えっ!せ、芹沢さんっ!?」

驚き過ぎて、飛び起きた位だ。
飛び起きた私を苦笑しながら、芹沢さんは私を寝転ばせる。

「飛び起きたら具合が悪化するだろう」
「でも芹沢さんが来るなら起きていた方が…」
「いや、具合が悪いなら素直に寝ておけ…わしに遠慮するな」
「…分かりました」

起き上がろうとすると止められるので、渋々布団に横になる。
先日の大和屋の時とは別人だと思う位、芹沢さんは私達に優しくしてくれる。
そういや、入った当初から芹沢さんはどこかへ行く度に私達を誘ってくれたり、優しくしてくれた。
何故かは知らない。
優しくしてくれる理由なんて聞いた事もない。
まぁただ、あまり興味がなかったから聞かなかっただけなんだけどさ。
でも、彼の最期の日になるから聞いてみようかな。

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