鬼の双子と新選組

「…あの、芹沢さん」
「なんだ?」
「その、何故私達に優しく接するのかなと思いまして…」
「…何故だろうな」
「え?」

間を置いて、芹沢さんはそう答えた。
私は今、間抜けな顔になっているかもしれない。
…何故か分からなくて優しくしてくれるってどういう事だ…?
芹沢さんの顔を見ると私を見つめる。

「少し聞いてくれるか?」
「…はい」

そう答えると、芹沢さんは少し自嘲気味に笑いながら、話し始めた。

「わしは子供が好きで隊士共も気にかけてるつもりだ、隊士共が酔って八木家の家財を試し斬りの道具として扱った時も、火鉢を傷物にした時も、全てわしが責任を取った…だが、あいつ等…土方達からすると、わしは横暴な悪漢なのだ…」
「…」
「だから、あいつ等の前ではそれを貫き通すが、おぬし等には何故か、本来のわしのままで居なければいけぬと思ったのだ」
「…!」
「それを裏切ったらどうなるのかと思って、大和屋の時に試したのだ…そう思った理由を、わしはその時に知った」

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