君のいる世界

 なわとびを跳んだら、体がほぐれて楽しいって気持ちが浮かんできた。橘マネがいるせいで緊張してガチガチになって笑顔も引きつっていたあたしを、魔法のように直してくれた。



 緊張が和らいだので、いろんな表情が浮かぶ。驚いたり、笑ったり誰のことも気にしなくていい、あたしは礼治さんだけを見ていたらいいんだから。


 礼治さんの指示でポーズを作り、シャッターが切られることが、まるでとても自然なことのようにすんなり受け入れられる。


 だから礼治さんがカメラを下ろした時、ドキリとした。礼治さんと居られる時間には限りがあることを思い出したから。


「はい、終了」


 呆気なく終わりを告げたので、びっくりしてしまった。

 慌てて時計を探せば、もう昼を過ぎていて、午後のエアチケットで帰るにはぎりぎりの時間になっていた。

 まず動いたのが衣装の青木さんで、あたしににパーカーを投げると、慌ただしく撤収をはじめた。

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