君のいる世界
「……あたし、また礼治さんに撮ってもらいたいです……」
堪えきれなくなった涙が頬をつたう。なんて根性なしなんだろ。泣いたりしたら、礼治さんが気にする……
「…いいよ」
くしゃりと礼治さんが髪を撫でてくれる。相変わらず優しい目をしている。
「ほんとぉ」
「うん。ほんと」
指で涙を拭いながら、少しだけ笑うことができた。嘘でもいい……礼治さんの言葉を忘れたくない。
「だからそれまで頑張るんだよ」
口を開けたら嗚咽になりそうで、こくこく頷くしかできない。グラビアアイドルなんて、良くて数年。それだけじゃない、他の何かがなければ生き残れたりしない。
あたしは、頑張ってまた礼治さんに会うんだ…