君のいる世界
あたしが鏡の前でぷるぷる震えていると、奥でバタリとドアの閉まる音が聞こえた。
仕切りの向こうから現れたのは、個性的なロイヤルブルーのスーツにピンヒールをはいた綺麗な女性だった。
この人も、モデルさんなのかな…
その人はあたしの隣の洗面台で手を洗うと、服装は乱れていないか、メイクは崩れていないかと確認をした。
こんなふうに自信を持ってあたしも立っていたい。そう思ったらいても立ってもいられず、あたしは話しかけていた。
「あのっどうしたら、自信が持てますか? 」
綺麗な女の人は、きちんとあたしに向き直って目を見てくれる。
「あたしも自信なんてないわ。ただ、今までしてきたことが、あたしを支えてるのよ。背中を丸めて逃げるのは楽だけど、自分に対しても人に対しても恥ずかしい仕事なんてしていないの」
そう言ってくれた姿は女神様みたいに綺麗で、おんなじ女性だったら目指したい憧れの人だった。