君のいる世界

「覚え書きだとでも思ってくれたらいいよ。僅かだけど財産分与とかの書類とかまとめたからさ。家にあるものについては、お前にまかすから処分してくれて構わないし。カメラは欲しいやつにやる」

「………止めてくれよ、まだそんなこと聞きたくない」

「だからさ、後で聞いとけばよかったってならないように、用意してるんだって」


 うずくまるように頭を抱えた熊と俺を他の人が見たなら、どちらが病気なのだと思うのだろう。

 初めて聞かされたら、誰でもショックを受ける。


 病院行って、そこで見つからなくて、ネットで調べたセカンドオピニオンで食道専門の医師からやっと見つけてもらって、病名がついてやっと安心した。


 俺、やっぱおかしかったんだって。

 
 喉に違和感を覚えて調べてみたけど、食道ガンていうのはある程度、腫瘍が大きくなってからでないと見つけづらいものなのだ。
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