君のいる世界
「ごちそうさま」
箸を置くと熊が慌てて言い募る。
「また、飯食いにいこう。明日も、明後日も入院するまで」
「嫌だよ、そんなの。俺が他に飯食いたい奴いないみたいじゃない。俺なんかに構ってたら、お前捨てられるぞ」
「彼女はそんな心の狭い女性じゃないよ」
彼女を思い出したのか、顔を赤らめる熊は不気味だからさっさと伝票を持って帰ることにする。
「見舞いとかいいからな。お前が来ると部屋が狭くて看護婦さんが寄り付かないからな」
「嫌がらせに行ってやるから気にするな」
ひらりと手を振って歩きだしても今度は止められなかった。