君のいる世界
「ほんとバカとかヒドイ」
「バカよ、本当。ずっと私の後ろをついて回って、いつも相談してたのに、いきなりモデルになるとか、ほんと後先考えてないバカだよ……それに私はそのバカが羨ましかったから、ずっと玲奈のこと許せなかったっ……」
今にも泣き出しそうな顔のおねーちゃんからそう言われて、びっくりする。
おねーちゃんが、あたしを羨ましい?
あんなに何でも出来て美人のおねーちゃんに、そんなふうに思ってもらえるところなんてないよ。
「玲奈はバカかもしれないけど、何年かかっても決めたことをやり遂げたじゃない。それ凄いよ。山崎礼治に会う、写真を撮ってもらう。私なんてみんな中途半端で、玲奈みたいにバカになりきれなかった……きっと変なプライドがあったんだね」
きゅっと強い目で、おねーちゃんが見つめてくれる。
「行きなよ、山崎礼治さんのとこに。そのためにずっと生きてきたんだから」
「おねーちゃん……あたし、行ってくるね! 」
玄関でパンプスを出していると、リビングに置いてあったバックを持ってきてくれる。