君のいる世界

 おねーちゃんと2人の夕飯も寂しい。早く家族皆で食べられるようになったらいいのに。



 その時、家の電話が鳴った。


 ドキンと心臓が早く打ち始める。夜中の電話は不吉なことしかない。家の電話が鳴って、親戚の訃報がもたらされることを何度も見てきたからか、家の電話が鳴ると訃報かセールスとしか思えない。

 固まったあたしとは反対に、おねーちゃんは素早く電話に出てくれる。


「お母さん……」


 相手がおかーさんだとわかって、ほっとしたおねーちゃんの顔がみるみる青ざめる。洩れ聞こえる声は大きくはなくて、途切れ途切れで内容がよくわからない。通話口をふさいだおねーちゃんが、強張った顔で口をふるわせた。


「玲奈、おじいちゃん左の脳で脳梗塞を起こしているって……集中治療室に入るから、今日はお母さんもお父さんも病院に付き添うそうよ」


 驚いてしまって、うまく声も出ない。



 おじいちゃんは大丈夫なの?こういう事って、よくあることなの?
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