君のいる世界
「…………………わあああっ……ああっ」
堰を切った嗚咽は、呼吸が苦しくてたまらなく、しゃくりあげるような盛大な泣き方になる。
「おじいちゃんが亡くなったんだから、悲しくないわけないじゃない。泣いたっていいのよ、玲奈」
こくこく頷くと、ひぐひぐと嗚咽で震えている背中をとんとんとなだめるように叩いてくれる。
この世ではない、どこかから生まれてくる時に泣き叫ぶように、黄泉の国から抜け出す時にも泣くものなのだろうか。
おじいちゃんの魂を置いたまま黄泉の国から抜け出すのなら、それはやっぱり泣くものなんだろう。心を通わせた誰かを失う事は、とてもとても悲しい。
その時、鼻の奥に違和感があってごほっと吐き出したのは大きな血の塊だった。それをさり気なく土で覆って、おかーさんは苦く笑った。
「親子よね。だからそういう泣き方をすると、鼻や喉を傷つけるのよ。この血の塊は鼻血だから心配しなくていいわ。そのまま少し上を向いてたらいいわ」