君のいる世界

 自分が傷つくような泣き方があるんだ。心だけじゃなく体まで傷ついて、ぼろぼろになってしまうような。

 あたしがそんな泣き方をしても、おかーさんは驚いたりしなかった。親子よね、きっとおかーさんもこんな泣き方を知っている。

 心が傷ついて、体まで傷つくような。


「玲奈は何にも悪くない。だから自分を責めたり傷つけたりしなくていいのよ。泣きたかったらガマンしないで泣いていいのよ。本当……玲奈は不器用ね」


 そう言ったお母さんの声も涙でにじんていた。


「悲しんでいいのよ。会えなくなるけど、おじいちゃんはいつも玲奈のことを見守ってくれているから。いつか玲奈が年をとって息を引き取った後に、よく頑張ったねって言ってくれるわ」


 よく頑張ったは、おじいちゃんの口癖だった。いつかその時がくるまであたしも頑張って生きていくね。おじいちゃんの前に立って、恥ずかしくなってしまわないように。
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