君のいる世界
「礼治に関わると、あなたもそんなのになるわよ」
「どうして、そんなこと言うんですか? 」
「私はあなたを心配してあげてるの。人生の先輩としてね」
彼女はせわしなく体を震わせはじめた。呼吸も少し早くなっている。
「山崎礼二のせいで、私の人生はめちゃくちゃになったの。あの人、モテるでしょう? 写真集を発売された頃は絶頂期で、モデルになった私も鼻高々だったわ。写真で生きていけるようになったから結婚してすぐの頃に、ストーカーに会ったのよ」
見ていると、額には玉のような汗が浮いてきて呼吸も荒く、興奮状態なのがわかった。あまりの変わりように、ごくりと唾を飲み込んだ。もし、何かあったなら内線電話でお医者さまを呼んでもらおう。
なにか常軌を逸した何者かに支配されているように体が震えている。
「ストーカーが、私を殺そうとしたの。それまで手紙や嫌がらせがあったけど、まさかそこまでするなんて思ってなくて油断してたのね」