君のいる世界

「………俺も玲奈ちゃんのことが好きだよ」


 こんな自分を好きになってくれて、ありがとう。




 泡が弾けるように、ぽかりと意識が戻った。目を開けると、目の前には心配そうな玲奈ちゃんの顔があった。


「君のいる世界に戻ってこれたよ」

「はい。もう大丈夫です。これからは、一緒に頑張りましょう」


 麻酔が効いているので、上手く言葉も喋れない。それでも顔の筋肉を動かして笑うことが出来た。


「礼治さん、さっきあたしのこと好きだって言ってくれたの覚えてますか? 」

 
 夢の中ではなく、声に出ていたらしい。意識のない時の告白なんて、無効だ。


「それなら、これからあたしのことを好きになってください。世界中で一番いい男になって、あたしのことを好きになって下さい」

「いいよ。世界中で一番いい男になるから、玲奈ちゃんはそこで見てて」

「誰よりも、そばにいていいですか? 」

「俺、結婚してるよ」
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