君のいる世界

カッコイイ……

あんなにボロボロのあたしが、気持ちだけで誰かにそう思ってもらえるなんて。

今すぐにもあの女の人にお礼を言いたかった。


顔を真っ直ぐにあげて、あたしはあなたを見れましたか? びしよびしよの服でも気持ちだけはあなたに届きましたか?



じわりと涙が浮かんでくる。

あの人は魔法使いだ。どこにでもいる、なんでもないあたしに魔法をかけてくれた。

その魔法であたしは頑張って顔を上げることができたのだから。あの人から貰ったピンクのシュシュが窓に写って見える。



いくつ落ちたっていいや。

きっとあたしには覚悟がたりなかった。だから、次は頑張る。

ダメなら、その次も頑張る。


そうして…いつかまた出会えてお礼が言えたらいいな。

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