君のいる世界
思いは自分の中から出て、迷いながら何処かに向かおうとしている。
それは何処かはわからないけれど、ずっと抱えていたものに、何らかの答えが出る気がした。
10年というバカみたいに長い間憧れてきたのに、山崎礼治という人間について知っていることなんて、Wikipediaに載っていることくらいしかない。Wikipediaに記載があること自体が普通ではないけれど、一般人が知り得ることなんてたかがしれてる。
歌手だったり、俳優さん、芸人さん、芸能人と呼ばれる人だったなら、まだ知っていることもお目にかかる機会もあっただろうに、あたしの憧れているのは、むしろアーティストといってもいい、職人みたいな人で、関わりあう人間も限られている。
作品を目にする機会はあっても、とても遠い存在だった。
ただ会いたいという、不純な動機でモデルを始めてここまでやっと来たんだ……