君のいる世界
ごほん、と咳払いした社長がにが虫を噛み潰したような顔をして口を開いた。
「君の胸が、下品なくらい大きいので我が社の製品にあわないのだよ」
「ラビッツがピッグになるくらいにね~」
ホルスタインがまだわからないけど、ピッグは豚だ! わかってちょっとほっとした。
でも、ラビッツが豚になっちゃうなんて、デブだと言いたいみたいだ。
「たしかにあたしの胸は大きいほうかもしれませんが、そんなに酷いですか? 」
ピンクラビッツのデザイナーさんは、そんなことちっとも言ってなかった。ツインテールにしたあたしの髪をいつも褒めてくれて、玲奈に似合う服を作るねっていつも言ってくれたのに……。
「玲奈はもう社長さんの考えているピンクラビッツのイメージじゃないんだ。社長さんも忙しいから、これ以上聞くのはやめなさい」
「それなら、あたしみたいにピンクラビッツが好きでも着れない人にも似合う服を作って下さい」
「まだ玲奈はピンクラビッツのモデルがしたいのか? もう決まったことだから、いい加減諦めなさい」