君のいる世界
ピンクラビッツ粗品受け取り当日、朝からあたしが出掛ける用意をしていると、なにやらおねーちゃんもオシャレをしていた。
「おねーちゃんもどこかに行くの? 」
「今日はプチコレクションがあるから、みんな可愛い服で来るんだよね。気合い入れてかなくちゃ」
おねーちゃんの着ている服は今まで見たことがないもので、新しいものみたいだった。対するあたしは、待つかもしれないからと楽なTシャツとショートパンツでリュックにお菓子を詰めていた。
女子力に差がありすぎる。
「玲奈もモデルになりたいなんて夢を見てるんだったら、こういうコレクションとか見たほうがいいよ」
「うん…」
たかだか粗品に踊らされて出掛けるとも言えずにへらりと笑う。雑誌やネットで配信されるコレクションの大きなステージに出れるモデルなんて、かなり売れっこだ。
憧れはしても、モデルのモの字もないあたしには遠いステージだ。