君のいる世界

キャップを被ってリュックを背負って家を出た。


コレクションに出れるショーモデルはみんな背が170を超えるのが普通で、残念ながらあたしはそこまて背が高くない。

憧れだなぁ

もうこれ以上は大きくなれないとしても、雑誌のモデルならなんとかなるはず。





電車を乗り継いでついたのは、大きな建物で、入り口のわからなかったあたしは、警備員さんに封筒を取り出して聞いてみた。

封筒を見た警備員さんは、にこにことして「まだ時間があるから」と連れて行ってくれた。

「お嬢ちゃんは、ピンクラビッツが好きなのかい」


「やっぱりカワイイなぁって思います」

「そうかいウチの娘もなんだよ。オジサンが見たんじゃ他の服との違いがわからないけど、ピンクラビッツの服を着てると嬉しそうにしてるからわかるんだ」


着る人を幸せにできる服。

凄いなぁそれって最強だよね。きっと自分に自信がもてるはず。カワイイって最強だ。


「だからお嬢ちゃんも頑張っておいでよ。あそこの入り口で封筒を見せたら入れてくれるよ」

「案内ありがとうございました! とっても助かりました」


頑張って粗品をゲットしてきます!

きっと非売品と限定品です!

心の中でにんまりと粗品を想像しながら、ぺこりと頭をさげる。勢いで髪の毛とリュックがずり落ちる。


すると頭の上で楽しそうな笑い声がおきる。


「ああ、なんだか分かったよ」

「何がですか」

「どうしてその封筒を持っているかだよ。さあお迎えだ」

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