君のいる世界
モデルの基礎もないあたしは、ウオーキングのレクチャ-を簡単にしてもらう。
先生は、すらりと姿勢のいい女性でハキハキしている。ダンスの講師もしているとかで、立ち居振る舞いもキレイだ。
「シンデレラも大変よねぇ。いきなりこんなとこに放り込まれて。
まあミカさん自体あんまりアーティストとしてはうるさくないから、あなたは自分らしくステージに立つといいわ」
まあ、それが難しいんだけどね。と小声で付け加えた。
「服に着られるモデルじゃなさそうだし」
ほんの数分のウオーキングでも神経を使っていたので、ぐったりと疲れていた。
「ありがとうございました」
と深々と頭を下げたら、待ち構えていたさやさんに捕まりフィッティングとメイクに入る。選んだ服、あわせてもらった靴や小物それらが名前を付けられ、ハンガーに掛けられていく。
「当日のバックステージは戦場だから。ここで下着姿は恥ずかしいなんていわないで。みんな次の衣装に着替えるのに手いっぱいで気にしてないから」
会場を映し出しすモニターにもかなりのお客様がいらしているのが映し出されていて、さやさん自体も会場の熱気を受けて頬が赤らんできていた。