君のいる世界
「ならいいね、玲奈。みんな仕事で来ているんだ邪魔しないようにね」
明らかにほっとした社長が、追い出しにかかる。もぅ、ほんとに終わりなんだ。
「はい…すみません、お邪魔しました」
ドアを開けて出ていくあたしのことは誰も気にせずに、撮影の順番についてきゃあきゃあと会話が弾ける。
もう一度ドアから出る前にお辞儀をしたけれど、きっと誰も気づかなかった。
はぁどうしよう。
人生設計の、初めからつまずいた感じ。
それはそれは小さい頃から綿密に計画して、何度もシュミレーションをしたのに、こんなことがあるなんて。
おっぱいが大きくなりすぎたのが、恨めしい。びよんとシャツの前を引っ張ってみたら、伸びた生地は横にしわを寄せて胸に張り付く。
とりあえず時間のできたあたしは、ふらりとコンビニで唐揚げと豆乳を買っていた。やけ食いにカロリーは関係ない。
これからどうしようかと、唐揚げを頬張りながら考えていると、スマホがふるふると震えた。