君のいる世界

ウエディングラインのあるショウは、最後に純白のドレスを纏ったモデルをデザイナーがエスコートする。

ジュニア向けのピンクラビッツにはウエディングラインがないけれど、こうして最後の作品であるあたしは、ミカさんにエスコートされている。

あまりにも自然にエスコートされて、普段ならエスコートされる側であるはずのミカさんの落ち着いた振る舞いに、恐る恐る身を任せている。

何をしても似合う人がいることに、憧れよりも嫉妬がわく。

この人は、どれだけの才能をまだ隠しているんだろう。



足掻いて足掻いてやっと人並みレベルでしかないあたしは羨ましいばかりだ。

でも、こうしてそばに居られるのなら。

一番そばでミカさんを見て、話せるのなら今日よりも、もっとなりたい自分になれるはずだから……



あたしは、ここで頑張ってみたい。


ランウェイからステージにたどり着くと、まわりを取り囲んだモデルの人達からも拍手で迎えてもらう。

ミカさんを中心に皆でお辞儀をすると、さらに拍手が大きくなる。
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