君のいる世界
明るすぎて飛んでしまった視界にも、会場の笑顔が見える気がした。
ミカさんを見たら、やっぱり笑っていてあたしまで嬉しくて、ステージの上だということも忘れてデレた笑い顔になってしまった。
ミカさんに向けられた拍手の何十分の一かは、あたしに向けられているものも混じっているかもしれない。そう思ったら胸の中が暖かくなった。
掴まれていた手を、きゅっと握りかえす。
「ミカさん、このステージに立たせてくれてありがとう」
「お礼なら、あたしが言いたいくらいよ。ずっとあったコンプレックスを、玲奈ちゃんが無くしてくれたのよ。
あたしはずっと服が好きだったの。デザインするのも、作るのも。
それでも服を作ることも、こうやってショウをする事も悪いこと、みっともないことだって両親や親戚から言われてきたのよ。
それでもやめるなんてできなくて、迷って悩んで作った服がその服なのよ。コンテストに応募してなんにも賞がとれなかったら、止めようって思ってた。
この服がきっかけで、賞も貰ったし、そのご縁でこうしてブランドを任されたのよ。
あたしのことをこうやって受け入れてくれる場所がやっと見つかったの。
それはやっぱり玲奈ちゃんに会えたことも大きいの」