君のいる世界

ミカさんと両手をつないで向き合うと、とても綺麗な笑顔をあたしに向けてくれた。


「ここに来てくれてありがとう。玲奈ちゃんにこの服を選んでもらえて嬉しいわ。どこも直すところなんてないくらい完璧にサイズが合ってる。


……ありがとう。あたしのディーヴァ(女神)」



そしてあたしの手を取ると甲にキスをして高くかざした。


その瞬間、割れるような拍手に会場がふるえるほどの衝撃があった。

その衝撃は客席からステージへと津波のようにやってきて、空間を満たした。まともに衝撃を浴びたあたしは、その熱と音でびくりと体が跳ねた。

この空間を埋めているものは、とても幸せな気持ちで、熱いくらいの思いだった。


この会場からの拍手に応えたくて、もう一度お辞儀をする。

自然と深く深く体が傾く。ツインテールにした髪が膝につくくらいに。

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