君のいる世界
「……どこかよそで会っても、おねーちゃんなんて呼ばないで。言いたいことはそれだけだから」
そう言っておねーちゃんはリビングから出て行った。
あたしにも、お菓子にも興味なんてないみたいに、ただ横を通り過ぎていった。
おねーちゃんが、無条件にあたしの夢を応援してくれるなんて、そんな訳なかったんだ……
どうして、そんなこともわからなかったんだろう。
あたしがモデルなんてチャラチャラしたことをしていたら、おねーちゃんにも迷惑がかかるかもしれない。
おねーちゃんの学校みたいな、いいお家のお嬢様が行くところには、そんなことをする人なんていなくて、家族や親戚とかにもそういう人がいないのかもしれない。
あたし、もうおねーちゃんて呼べない……
どこか家の外で会っても、おねーちゃんはもうあたしとは話してくれないのかもしれない。
お友達といたら、恥ずかしくて話してくれないんだ……
そう思ったら悲しくなった。
ピンクラビッツの服を着たら、みんなが幸せになると思っていたのに、あたしは大切なおねーちゃんのことは幸せにしてあげられない……
それがとても悲しい。
ついさっきまで、ぱんぱんに膨らんでいたあたしの気持ちは、あっという間にぺしゃんこになってしまった。