君のいる世界


「玲奈ちゃん。朝ごはんは? 」

「た…食べます」


 食堂に入るなり、優しげな礼治さんの笑顔が出迎えてくれる。なんて……贅沢な。

 朝から神様は大盤振る舞いすぎます。

 早々と切り上げた酒宴のためか、すっきりとした顔でお酒の影響は見られない。

 礼治さんは朝から爽やかです。でも、シャツ一枚を羽織っただけの姿は色気がだだ漏れています。捲られた袖からのぞく腕が筋肉質で素敵です。


 ………いけない。

 無理やり腕から視線を上げると、とびきりの笑顔で、ご飯どれくらい食べる? なんて聞いてくださる。

 ああ…もうっ眩しい。そんな甘い顔で話しかけてくるなんて、朝からどれだけ心臓をばくばく働かせなくちゃいけないの?

 おかずも焼き魚、卵焼き、サラダ、お味噌汁などの和食が食卓に用意してあった。

「あのっ…ご飯も焼き魚も卵焼きも大好きなんです……でも、写真を撮りますよね? だから、あまり食べてはいけないんです……」

 美味しくって食べ過ぎたなら、胃やらお腹やらがぽこりと出てしまう。あたし、水着なんです。

 バレバレです…

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