君のいる世界

 喉を通り、胃を滑り落ち腸のあたりでふわっと消える。おかげさまで便秘知らずに過ごしているけれど、友達にすすめてもあんまり興味を持ってもらえない。

『便秘には朝水を飲むといいよ』

といっても『ああ水分とればいいんだよね』と返ってきたので、『水だよ、水がいいんだよ』といっても『別にさ、お茶とかコーヒーでいいじゃん』と取り合ってくれなかった。


 なぜか理解してもらえなかった。

 水を飲んだ時の、このするする吸収されていく感じをわかってもらいたかったのに。


 なんだかなぁ。

 しばらくコップを見つめていたら、目の前にワンプレートに盛られたご飯が現れた。


 小さく握られたご飯には、ごま塩がかかっていて、鮭やサラダが盛られた和風のプレートで、隅っこにはフルーツが乗せられていた。


「これくらいなら食べれる? 」

「は、はい大丈夫です。とっても美味しそうです」

「そう。良かった」


 そう言った礼治さんはものすごく優しい顔をしていた。
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