君のいる世界



髪をゆるくハーフアップにして、胸をぎりぎり見せることのできるシャツを白い水着の上に羽織ってスタンバイオーケーだ。

いつものグラビアなんかよりずっと緊張して、ドキドキと心臓がうるさい。

これから、ずっと憧れてきた礼治さんに写真を撮ってもらえるかと思えば、今までの苦労なんて何でもない。

とは言え、あたしはピンクラビッツでモデルが出来てとても運が良かったのだから。苦労という苦労はしていないかもしれない。


「今日はよろしくお願いしまぁす」


「はい。よろしくね」


礼治さんは、にっこりと甘い顔をゆるめて笑顔をつくってくれた。

ペこりと頭を下げると、髪が砂に付きそうになる。これは感謝をあらわす意味のお辞儀なので
どうしても深々としてしまう。


目があった結輝さんと、どちらともなくにこっと笑って強い日差しにも負けることもなく撮影がはじまる。
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