君のいる世界

それから場所や水着を変えて撮影を続けた。お昼を挟んであたりが色を変えるまで撮影は続いた。

夕暮れの深い藍と燃えるようなオレンジ色の織り成す空を切り取って、今日の撮影は終了になる。

そのころには撮影をしている礼治さんも含めて、みんなが黒いシルエットのようだった。

そのころにはやっと写真を撮られることに慣れて、礼治さんにレンズごしに見つめられても自然にいられるようななった。

礼治さんのイケメンオーラも、仕事モードで無闇に女性をキュン死させてしまうレベルではなくなっていた。

礼治さんの色気は、一度知ってしまったら、中毒レベルに達してしまいそうで、おいそれと馴れ馴れしく話しかけられない。

ずっと憧れてきた人なんだもの、バカっていうのがバレたら恥ずかしい……

それでも話してみたい気持ちは、ある。
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