君のいる世界


「はい、お疲れさまねー」

礼治さんが声をあげると器材の撤収をはじめる。青木さんが羽織るものを渡してくれて皆撤収の作業に追われている。

陽が陰ると風は冷たいものに変わり、パーカーを着こむと肌が冷えていたのがわかった。水着みたいな生地の少ないものではもう肌寒くなってきていた。

「お疲れさまでしたぁ」

高級な機材なのでおいそれと手伝うこともできず、お辞儀をして通りすぎる。話してみたいけれど、こんな水着みたいな肌を露出した格好ではなくて、何か着たほうがいいのはわかっていた。

ちらりと礼治さんと目が合ったけれど、すぐに逸らされてしまって、やっぱりこんなぴらぴらした格好じゃだめなんだと思い知る。

撮影は明後日まで。それまで少しでも礼治さんとお近づきになりたくて早く着替えに行くことにする。



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