君のいる世界
マネージャーと呼ばれる人の中には、元芸能人だという人も存在する。橘マネージャーも経歴からいったらそうなるけれど、この人は自分が活躍するよりも、マネージメントのほうに魅力を感じてマネージャーになった人だ。
今でも俳優として十分通用するほどの色香があって、男として仕事でも一番活躍する時だ。
「玲奈は才能があります。誰もを引き付ける魅力は、グラビアよりバラエティー向きかもしれません。まず認知してもらうことが大切なので、雑誌や写真集も積極的に仕事を取っています」
「バラエティーだと、バカだってわかっちゃうよ…」
そういうのは面白い話のできる子じゃないと必要とされない。あたしが面白いかといったら、微妙。
「すみませんが、ここから仕事の打ち合わせになるので、少しご遠慮願えますか」
黒い笑みの橘マネージャーにたじろいだ結輝さんが、あたしを見つめる。ごめんねと書かれた顔に申し訳なくなる。
「お手間かけさせてすみませんでした。どうぞごゆっくり」