雪のような恋。
雪のように。
『今夜は6年ぶりのホワイトクリスマスとなるでしょう!』
朝のテレビで若いニュースキャスターが
厚着をして元気よく話していた通り、チラチラと小さな雪が降り始めた。
俺はベッドで仰向けになりながら、
小さな窓からそれに気が付いた。
暖房の効いた部屋の窓は白く霞んでよく見えない。
俺は体を起こして窓を開けた。
クリスマスのせいなのか、雪のせいなのか、
俺はまた思い出の中を彷徨い始める。
それは思い出と言えるほど、綺麗なものではなかったが、
後悔というほど、重荷になるものでもない。
だけど、確かにその記憶は俺の人生の中で最も重く
そして綺麗な、美しいものだ。
俺は窓から流れ込む冷気に吹かれながら
心地よい思い出を彷徨う。
まるでゆっくりと、落ちていく雪のように。