雪のような恋。
その気持ちの名前を知ったのは小6になってからだった。
休み時間に、クラスメイトの男子に
「なかちゃんて空野のこと好きなの?」
と聞かれた。
正直、俺はその時まで美雪を好きとか考えたことがなかった。
だから素直に
「わからない」
と答えた。
その男子は白井といった。
白井は髪の毛が茶色くて背も他の男子より高くて明るいやつだった。
だから女子から人気があることは、
そんなことに興味のなかった俺でも知っていた。
その白井がはっきりしない俺に
少しムカついたように小さな声で
「俺は空野のこと、好きなんだ。告白しようと思うんだけど。いいか?」
と言われて俺は驚いた。
イヤだ。
そう思った俺は初めて
自分が美雪を好きだということを知った。
少しの間をあけて、白井にダメだと言うと
白井は微笑んだ。
「そうか。好きなんだ」
俺は黙ってうなずいた。