双姫 Ⅱ
『あーっと…さぁ行こう!!』
母さんからドレスを奪い取り、
部屋を出ようとする。
「朱音、貴女は令嬢。
それは分かってるわね?」
その言葉に足を止めた。
「類くんと上手く…『分かってる!』」
好きな人と結ばれるかなんて保証は無い。
分かってたつもりだった。
でも、今はそれが苦しい。
首にあるキスマークに触れる。
『そんな事分かってる。
それでも類を好きな場合はどうすれば良い…?』
初めて恋を知った。初めて人を好きになった。
類が他の女の人の隣に居るなんて
そんなの見てらんない。
令嬢だからと言って諦めなきゃいけないの?