双姫 Ⅱ
ブランド
教え込まれた通りに足を運ぶ。
「おい、神崎社長の隣に居るのって…。」
「この様な場に来るとは珍しい…。」
「噂の次期社長ですわ!」
私が会場に入った途端ザワザワと騒ぎ出した。
「朱音ったら人気者ね?」
『まぁ、お母様。全く嬉しくありませんわ。』
「笑顔が崩れてるわよ!」
あ、笑顔笑顔…。
『気のせいですわ!』
あー…作り笑いって疲れるね。
「神崎さん、お会い出来て光栄です。」
「まぁ!なんて素敵なドレス!!」
「宜しければ話を伺っても!?」
私達に群がるように周りを囲まれてしまった。
『まぁ、そんなに慌てないで下さい。
私は逃げたりしませんよ?』
ぶっちゃけ逃げたいんですけどね。
『神崎』の名のブランドを欲しがる
私利私欲なコイツらから。