双姫 Ⅱ
大切な存在とは
「朱音、来たわよ。」
『あれが…。』
目線の先に目当ての人物を捕らえた。
魁の両親、そして弟だろうか。
私と同じ位の歳に見える男が居た。
「行くんでしょ?失礼の無いようにね。」
『分かってる。』
母さんから離れ、堂々と近付いた。
『お初にお目に掛かり光栄です。
神崎 朱音と申します。』
軽く会釈をし、笑顔を向けた。
「君が次期社長の…。
噂では聞いていたが美しい方だ。」
この人が魁の父親…。
政治に関わっているからか厳しそうな印象。
『そんな事ありませんわ。そちらの方は?』
「私の一人息子の翔(かける)です。
さぁ、挨拶しなさい。」
「翔です…お会い出来て光栄です。」
翔が私の前に立ち、笑顔で自己紹介をした。
でも、そんな事よりも。
『…一人息子……?』
その言葉が引っ掛かった。