双姫 Ⅱ
眠らされるそう思った瞬間、
私の上に乗ってた黒男が突然消えた。
「お前…死ぬ覚悟はあるんだろうな?」
その代わりに見た事も無い顔をして、
黒男を見下ろす類が見えた。
「お前が樺沢 類か…?」
黒男は余程ダメージを受けたのか
蹌踉(よろ)めきながら立ち上がる。
「だったらなんだよ。」
ドガッ!
バキッ!
「グァッ!!」
「立てよ、こんなもんじゃねぇだろ?」
いとも簡単に黒男を殴る類。
『樺沢組』を背負うのも頷ける程の実力。
いつもの類とは別人だった。
私が知ってる類は
優しくて、少し意地悪で笑顔を絶やさない…。
『る…い……類ッ!』
震える身体を無理矢理起こし、
黒男を殴り続ける類に呼び掛ける。
でも、私の声は届かなかった。