双姫 Ⅱ


『お久し振りですね。
パーティーでお会いした以来ですか?』


「覚えてて下さったのですか!
なんと喜ばしい…。」


普通なら女に騒がれる容姿だが
この気持ち悪さで台無しになっている。


『これは一体なんの仕打ちです?
列記とした犯罪行為なのではないですか??』


「私は大切な婚約者を
他の虫に寄られない為にしているだけです。」


『私は貴方と婚約した覚えはありません。』


なんとめでたい勘違いをしているんだろう。


「何故ですか…?こんなにも愛しているのに。」


『私には他に想いを寄せている人が居ます。
その人と婚約しました。
貴方と私は赤の他人なのです。』


「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だッ!!!」


『…私を帰して下さい。
どうせ、この場所は直ぐに見つかるでしょう。』


『神崎組』が動き始める筈だから。


< 294 / 448 >

この作品をシェア

pagetop