双姫 Ⅱ
狼降臨
「んあー?
間違えて類にやっちまったか!!」
バシバシと類の背中を叩く愁斗。
「しゅ、愁斗止めといた方がぁ…。」
皆が青褪めて後ずさって行く。
「痛てぇな…気安く触んなよ。」
『る、類?
落ち着こうか…!ほら水でも飲んで?』
喧嘩している時に近い顔になってる…。
「朱音さん、近付かない方が良いですよ。
酔いが覚めるまで待ちましょう。
愁斗、類にどのお酒を渡したんですか?」
「これだー!」
愁斗が持って見せたのは、
『テキーラ…。』
「ここの一番アルコール度数が高い物を…。」
先ず、ここにテキーラがある事が
問題だと私は思うんだけどね…。
じゃあ、水じゃなかったら
私がテキーラだったって事?
グイッ!!
『わわッ!?』
急に身体が浮遊して、慌てて掴む物を探す。
気付けば類に担がれていた。